第05話:森には、神が宿る。
森に緑が戻ってきました
樹々をおおう木の葉のざわめき、葉末を揺らす風と光。
森に足を踏み入れ、ひんやりとした空気に包まれたとき、
そこに神秘的な感動を覚えるに違いありません。
森林とともに生活してきた民族の多くは森の樹木に神を見ました。
昔のゲルマニアやスカンジナビア諸国に伝わる神話では、
祭祀の場所は森であり、
森そのものが神の住みかであり、神殿であったという。
日本においてもそうであった。
今でこそ神は社に鎮座し、樹木におおわれている。
がもっと古い時代には社はなかった。
最初は神の宿る樹木があって、
そこにあとから建物が建てられたのだという。
私たち日本人は自然を神として敬ってきた。
大木や巨石、清泉が神であり、森は神そのものであり、
神の宿るところであった。