第39話:森と土と水と。人類の共存。
文明の前に森林があり、文明の後に砂漠が残る。
これはフランスの思想家の言葉だが、文明が成立し、
発展させ続けるには、十分な森と土と水が不可欠だ。
私たちはそのような自然界の秩序とうまく同化し、
循環の中に溶け込むことが肝心。
もし、その限界を超えて都市が巨大化するとき、
人類だけが突出し、人工的な世界はやがて自然界に呑み込まれてしまう。
その典型的な例がマヤ文明だ。
焼畑農業から始まり、都市を形成した彼らは集約農業をめざし、
薪炭材を求めて、ジャングルを伐り拓いた。
やがて農地は、熱帯豪雨の土砂に埋もれる運命をたどった。
衰退の原因は、森林の伐採が奥地まで進んだことだ。
失われた文明はいま、樹海の中に見捨てられたままになっている。
自然はまた驚嘆する再生力をもっている。