第37話:森と同化しよう。交信しよう。
深い森の中にたたずむと、森と交信ができるという。
ある人の経験談だ。
大木の根元に座り、森の悠久の歴史に思いをめぐらした。
寸分の無駄もなく太陽エネルギーをとり込もうと枝と葉を広げている。
あたりの静寂は、不安と孤独にした。
やがて不思議な精神の落ち着きが感じられてきた。
しばらくじっと動かずにいるとリスが現れた。私は自然と同化した。
アイヌ語には「自然」という言葉は存在しない。
自然と一体となった生き方をしてきたから、
自然という言葉を創造する必要がなかったという。
巨木の森で、ひとり瞑想にふけっていると、
日々の雑事、あわただしさを忘れてしまう。
巨木は人間界をどう見ているのだろうか。人間は自然の一生物に過ぎない。
森と交信することによってその記憶が蘇ってきた。