第33話:森づくりは半ば科学半ば芸術。
自然は正しい。このゲーテの思想に共鳴した林学者コッタは、
森林の伐採、植林を繰り返しながら永久に生産力のある状態で、
ドイツの森を秩序正しく維持しようとする管理・経営論を確立した。
彼は、森づくりは「半ば科学であり半ば芸術である」と言っている。
科学とは自然の姿を素直に曇のない目で見ること。
自然の美しさをつくっているのは樹木や花、草や水、土など多くの要素。
その自然の姿をそのまま理解することが科学する者の大切な目。
芸術とは、自然の摂理に即したとき美が生まれる。
自然の中には余計なもの、邪魔なものは何一つなく、
すべての要素の力の調和の中に、森林の美がある。
だから自然の摂理に謙虚に従い、伐採を行うことこそが、
森林内の調和を保ち、美しい森をつくるのだという。