第32話:森づくりを支えたゲーテの思想。
十八世紀末~十九世紀にかけて、
荒れ果てた「森の国」祖国ドイツに美しい森林を再びつくりあげよう、
と全力を傾けたドイツの林学者たちの指針となったのは、
「自然は常に正しい。もし誤るとすれば、それは人間である」
というゲーテの思想であったという。
ゲーテと親交のあったコッタは自然の姿を素直に、
曇のない目で見て自然の正しさを理解することを強調した。
その流れを汲むメラーも樹木、草、鳥、獣、さらに土、石、水、大気など、
森林を構成するすべての要素が、有機的に結合して
一つの全体をつくっている自然の中には、
余計なもの、邪魔なものは何一つ入っていない。
その自然を大切にすることが森林取扱の要諦と説いた。
自然は正しい、このゲーテの思想は、現在も受け継がれている