第19話:森が守る冷たい水。
夏、森を歩いていて渓流の水に手を浸すと、
その冷たさに驚かれたことがあるに違いありません。
それは渓流が森林に覆われて、太陽の光が遮られているからです。
もともと渓流の水は、雨水が地中へしみ込んだ地下水。
水の温度は地温の影響を受けますが、
地表から40~50センチの深さでは地温の日変化はみられなくなり、
10mぐらいの深さに達すると一年間の地温の変化は殆どなくなります。
地下水が地中から流れ出た時から大気に触れ、
日射を受け、水温が変化しますが、
森林内の渓流は木に覆われているので、
水温は気温の影響だけを受け、日中わずかに上昇するだけです。
このように森の渓流の水温は、地下水の温度が低いことに加えて、
日陰効果によって夏でも冷たいのです。森は夏のオアシスです。