観察倍率2,000倍の気流感覚毛
空気の読める音楽家
秋の夜長に美しい音色を奏でるコオロギ。捕まえようとすると、まるで背中に目があるようにスルリと逃げてしまったという経験はないでしょうか。その秘密は、コオロギの腹部後端にある「尾葉」と呼ばれる気流感覚器官にあります。尾葉には気流感覚毛と呼ばれる大小様々な毛が400~500本程生えており、僅かな空気の流れを感知しています。感覚毛はそれぞれ倒れやすい方向が決まっており危険が迫っている方向を感知できるほか、大きさの異なる毛により広い周波数範囲をカバーしています。気流で毛が傾くことで根本の感覚細胞が中枢神経へと電気信号を送る仕組みで、各感覚毛からの情報を統合し、瞬時に行動へと移しているのです。
ちなみに、コオロギの耳は前脚の付け根にあり、大きさは0.02mm程。動物界最小サイズにも関わらず、人よりも広い周波数の音を聞き分けることが出来ます。