観察倍率1,200倍の松の花粉
より広くより遠くへ 松の花粉に隠された秘密
2021年が始まりました。今回は、日本のお正月にかかせない縁起物「松」の秘密に迫ります。画像は、松の花粉を拡大したもの。左右に大きさ25μmほどの風船のようなものが2つ付いているのがわかります。これらは気嚢と呼ばれ、細胞壁の一部が伸びたもので袋状の構造をしています。この気嚢があることで花粉本体だけの場合よりたくさんの風を受けて、遠くまで花粉を運ぶことができるのです。松には花弁がなく、昆虫による受粉が期待できないため、進化の過程で気嚢が発達し、このような形になりました。冬の寒さにも負けずに緑を保ち、強い生命力から長寿の象徴とされた松にあやかり、2021年も力強く歩んでいきたいものですね。