2006.04.01
VOCの排出規制に係わる規程施行される。
本年4月1日、大気汚染防止法 VOC(揮発性有機化合物)の排出の規制に係わる規程が新たに施行されました。VOCの工場など固定発生源からの総排出量を、2010年までに2000年度の約3割まで抑制する目標が掲げられています。
日本の現状は?
VOC排出量は、約185万トン(2000年度)。このうち固定発生源からの排出量は約90%、150万トンにのぼります。1990年代より対策を行っている欧米諸国と比較すると、排出量としては1/6~1/10ですが、単位面積当たりの排出量は、1.3~2.6倍となっています。(図参照)
対象となる業種は?
塗装、接着、印刷、化学製品製造、工業用洗浄、ガソリンなどの貯蔵に関わる施設が対象となります。従って、自動車、造船、鉄鋼、建築、鍍金、電機、石油など、産業の全域での対策や取り組みが求められることになります。
規制・取り組みの内容は?
ダクトの排・送風能力が一定を超える施設は、排出施設として都道府県知事への届出を行います。そのうえで、排出濃度基準の遵守や年2回以上の測定を行います。 カギを握る中小規模施設の取り組みしかし、全国に数10万ある施設のなかで、規模対象施設は5,000施設程度。これだけでは、政府の掲げる3割削減の目標値のうち僅か1割程度、16万トンしか削減できないと予測されています。そこで、本規制に加え、中小規模施設でも、VOCの含有率が低い代替品へのシフトや、VOC処理装置導入などによる自主的措置を行うベストミックスにより、目標達成に向けた取り組みがスタートしました。ミヤマでは、規制・自主的取り組みのためのコンサルティングや技術のご提供を行うとともに、迅速な対応を行えるよう分析体制を更に強化いたしました。
VOCの排出規制対象施設と排出基準
施設の種類 | 対象施設の規模要件 | 排出基準(ppmC) |
塗装 | ||
吹き付け塗装施設(自動車) | 換気能力が毎時10万m3以上 | 既設700、新設400 |
吹き付け塗装施設(自動車以外) | 700 | |
塗装用の乾燥施設 ※1 | 換気能力が毎時1万m3以上 | 600 |
接着 | ||
接着用の乾燥施設(粘着テープなど ※2) | 換気能力が毎時5,000m3以上 | 1,400 |
接着用の乾燥施設(上記以外 ※3) | 換気能力が毎時1万5,000m3以上 | 1,400 |
印刷 | ||
グラビア印刷の乾燥施設 | 換気能力が毎時2万7,000m3以上 | 700 |
オフセット印刷の乾燥施設 | 換気能力が毎時7,000m3以上 | 400 |
化学製品 | ||
化学製品製造用の乾燥施設 | 換気能力が毎時3,000m3以上 | 600 |
工業用洗浄 | ||
工業用洗浄施設 ※4 | 洗浄剤が空気に接する面積が5m3以上 | 400 |
貯蔵 | ||
ガソリンや原油などの貯蔵タンク ※5 | 1,000kl 以上 ※6 | 60,000 |
※1 電着塗装、吹き付け塗装用を除く
※2 粘着テープ、印刷用銅張積層板、合成樹脂ラミネート容器包装、粘着シート、剥離紙の製造ラインが対象
※3 木材・木製品製造用は除く
※4 洗浄のための乾燥施設も含む
※5 37.8℃で蒸気圧が20kPaを超えるVOCの貯蔵タンク(密閉式、浮屋根式を除く)
※6 既存の貯蔵タンクは、容量が2,000kl 以上の物について適用
VOCの排出規制に関するご相談は、弊社営業担当または下記までお気軽にお問い合わせください。
環境検査計測事業部
TEL:026-284-5114 E-Mail:kensa@miyama.net
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