2005.05.01
リスク管理時代の土壌汚染&埋設廃棄物処理。
2003年2月に土壌汚染対策法が施行され、2年が経過しました。最近では地方自治体で土壌や地下水汚染に関する独自の条例を検討、施行する動きもみられます。 こうした中、特定有害物質を扱う工場や事業所の施設を廃止する際など、土壌汚染状況を調査するニーズが一層高まっています。当社が提供するサービスについて、また埋設廃棄物調査の技術動向等について、環境地質事業部 事業部長の近藤武志に訊きました。
-まず最初に、土壌汚染対策法について教えてください。
この法律は、特定有害物質 を使用する特定の施設(「有害物質使用特定施設」(*1)という)を廃止したとき、土地所有者等に対して土壌汚染状況調査の実施を義務付けるものです。現在は、法律の定着と共に、地方自治体が独自に条例を制定する動きも加わり、ご依頼が増加しています。 当社では、企業のリスク管理の面から、少しでも不安があるときには、早めの対処、まずはご相談をお勧めしています。
*1 : 特定有害物質とは、重金属等(鉛、砒素等)、農薬等(有機リン化合物等)、揮発性有機化合物(トリクロロエチレン等)の3種類に区分される25の物質です。
-最近のお客様からのご相談やご依頼の傾向について教えて下さい。
具体的には、次のようなケースが増えていますね。
●土地の売買などで土壌調査が必要
●工場の統合、売却、借用地の返却を検討中
●特定有害物質使用設備の撤去・更新を計画中
●特定有害物質等の使用禁止、特定施設の廃止を予定
●有害物や薬品などの漏洩事故の際に行う調査や汚染土壌回復作業
●埋設廃棄物の調査・処理
●金融機関など担保とする土地に対しての調査
-様々なケースがあるのですね。そうしたお客様のご相談やご依頼に、どのように対処しているのですか?
当社は土壌汚染対策法に基づく「指定調査機関」の指定を受け、事業を行っています。
また、地質調査技士、環境計量士、土壌環境保全士など様々な資格を持つ専門スタッフが、お客様のご相談やご依頼に対応しています。さらに、分析から除去・処理に至る迄、各々の工程に専門スタッフを配し、一貫したサービスを提供することで、お客様の様々な要望にお応えしています。
工期の短縮とコスト軽減を実現。 ミヤマの埋設廃棄物処理技術。
-最近増加しているケースに埋設廃棄物処理がありますが。
はい。かつて、廃棄物を敷地内に埋めても、特に法律に抵触しなかった時代がありました。ですから、当時の廃棄物が敷地内に埋設されている、という例が多くあります。建設廃材、焼却灰、汚泥等、過去に埋設した廃棄物の実態調査のご依頼は確実に増えています。
-社内の履歴調査の結果、埋設廃棄物の存在が分かり、位置やどの位あるのか確認したいとご依頼いただくわけですね。
ええ。埋設状況を正確に把握することはとても重要です。というのも、埋設時期が古いと、関係者の記憶があいまいだったり、埋設当時の記録が残っていなかったりするためです。また、埋設場所は判っていても、年月を経るうちに埋設物の形状が変化しているケースもありますから。こうした場合に有効な手法が物理探査です。
-ミヤマでは、地中レーダー法等をはじめ様々な物理探査と通常のボーリング調査を組み合わせた調査を行っていますね。
はい。ボーリング調査は不可欠な工程ですが、反面、手間と費用がかかります。
そこでミヤマでは、状況に応じて、地中レーダー法や電気探査、磁気探査や表面波探査などの物理探査を組み合わせて対応しています。
例えば、地中レーダー法は、地中での電磁波の反射・屈折・透過などの物理現象を利用して埋設物を探査します。精度は誤差20cm程度、地下5~6m程度の深度まで測定できます。
ひとつ具体例をあげてみましょう。ある工場を閉鎖し、土地を地主に返却することになりました。履歴調査をしたところ埋設廃棄物があることが判りましたが、埋設時期が古く、埋設場所の特定も難しい。そこで、物理探査によって、埋設物のおよその場所と量を計測しました。次に、ボーリングで地質を詳しく調査することで、埋設場所を特定すると共に、埋設物由来の土壌汚染も把握できました。このように、物理探査を組み合わせることで、最初から手探りでボーリング調査を行う場合と比べ、迅速に埋設エリアの状況を把握し、必要最小限のボーリング調査で正確な状況把握、除去に向けた調査を行うことができます。結果、工期の短縮と、全体的なコスト削減を実現しています。
-なるほど。ボーリング調査と物理探査、この2つの手法を組み合わせることによって、お客様に工期短縮やコストメリットを提供できるわけですね。
そうです。しかし、物理探査のメリットはそれだけではありません。物理探査の導入により、事前に調査エリア内の埋設廃棄物のおよその位置と広がりが把握できるため、ボーリング調査等による埋設物容器を破損する危険(=二次汚染)の回避に役立っています。
ちなみに、物理探査は、埋設廃棄物だけでなく、例えば、地下ピットや配管の位置、地盤調査の測定等にも活用しています。幅広い分野で威力を発揮しますので、どのようなことでもご相談いただきたいと思います。
不測の事態にも、柔軟に対応。 一貫処理体制のミヤマにお任せ下さい。
-埋設廃棄物や土壌汚染の除去に必要な専門分野の技術やノウハウは、多岐にわたりますね。
その通りです。例えば、埋設廃棄物の場合、埋設状況を把握するための調査、土壌や埋設物の分析、埋設物の分別や除去、土壌の浄化、埋設物の収集運搬、適正処理と、さまざまな工程を経てはじめて完了します。それぞれの工程に専門スタッフを擁するミヤマの、総合力で対応させていただける分野だと考えます。
そして、もう一つ付け加えると、埋設廃棄物や土壌汚染の現場では、もともと予定していなかった状況が多かれ少なかれ発生するものなんです。
-予定していなかった状況とは?
例えば、処理に特別な許可や準備が必要な廃棄物がまぎれている場合がそうです。そうした変則的な状況でも柔軟に対応し迅速に対処できる。これは、一貫処理体制を持つミヤマならではの特長です。当社をお選びいただくポイントのひとつはまさにそこにあります。
当社は、数多くの現場を経験することで得た知識・技術を豊富に持っています。これを質の高いサービスへと転換することでお客様に満足いただき、同時に、ひとつでも多く、負の遺産を減らし、環境への潜在的負荷を取り除くお手伝いをさせていただきたいと考えています。
詳しくは、弊社営業担当または環境地質事業部までどうぞ。
環境地質事業部
TEL:026-285-4183 E-Mail:geology@miyama.net
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