2003.08.01
ミヤマの埋設物除去事業
今土壌関連で注目を集めているもののひとつに、過去に地中に埋設された物質廃棄物等の除去、があります。ミヤマでは、埋設物・周辺環境の調査から処理まで一貫体制のもと、お客様のご依頼に対応しています。除去にあたっては最新の探査技術や、長年の土壌汚染回復事業の経験を生かしたノウハウが生かされています。当事業について、環境地質事業部事業部長の近藤武志に訊きました。
ハイテク機器による地中探査
-ミヤマでは、20年以上前から土壌浄化ビジネスを展開してきましたが、最近注目を集めている地下埋設物の除去事業への対応は?
今回はその内容について具体的にお話したいと思います。図1のフローチャートに従って調査・分析・掘削・保管・処理という工程によって地中から埋設物の除去を行います。
-最初に行われるのは「埋設地点の確認」ですね。
埋設物に関する資料や、担当者等への聞き取り調査、現地調査などによって埋設地点の確認作業を進めます。 埋設位置の特定は、可能な限り高い精度の調査が必要ですが、実際には、埋設当時の図面に記入されている位置は、必要な精度に満たないことが多いのです。といって、埋設当時の記録や関係者の記憶に頼ることにも、埋設時期が古い場合には限界があります。 埋設地点が不確実な状況でいきなり環境調査を行うと、埋設物の容器を破損し、かえって環境への拡散を招いてしまうことも考えられます。こうした事態を避けるためには、精度の高い、埋設位置と深さの確認作業が必要になります。 その手法には幾つかありますが、地中レーダーによる埋設状況探査を挙げてみましょう。
-地中レーダー法ですか。どのようなものなのでしょうか?
地中レーダー法は、地中での電磁波の反射・屈折・透過などの物理的現象を利用して地下構造物や埋設物を探査する方法です。埋設されている可能性が高い地区の周辺で、0.5m~1m間隔で縦線を描くように調査し、その後、縦線と直交する形で移動調査を行いながら正確な測定をしていきます。概念としては図のようになります。精度は誤差20cm程度、状況にもよりますが地下5~6m程度の深度まで測定することができます。
-そして、レーダーによって探査された結果が、このような画面で出力されるのですね。しかし、私にはどこに何があるのか、ほとんど判りませんが(笑)。
そうでしょうね。得られた画面から埋設物の位置を判断するのには、それなりの経験と知識が必要になります。たとえば上の画面の場合、ここ(1)にヒューム管が埋設されています。これ(2)は同じヒューム管を輪切り状にみたものです。
-なるほど。ハイテクといえども、データの解析では、経験がものをいってくるわけですね。
-現地周辺の状況の把握も重要ですね。
ええ。周辺が田畑なのか、あるいは住宅地、学校なのか、これらを被影響物といっていますが、これらと埋設地点との位置関係の把握も大切です。 さらに、土木工事時の資料や文献等に基づいて、埋設地点の水文地質の状況として、土壌の性状、河川や池等との位置関係、これらの状況、あるいは帯水層の状況、地下水の流動状況等も詳しく把握します。
次代へ先送りできない問題として
-埋設物の調査と同時に、その埋設物によって周辺が汚染されているかどうかの調査も大切ですね。
ええ。「土壌汚染・地下水汚染の有無の確認調査」ですが、埋設物の外周を掘削し、土壌・地下水試料を採取して分析を行います。分析の結果「汚染がある」と判定した場合は、基準値または指針値を超える汚染がどの程度まで広がっているか、範囲の特定をする必要があります。 この場合、外側・下方に向かって調査範囲を広げながら、汚染の範囲を特定していきます。
-これが特定されたところで、埋設物および汚染土壌の掘削・除去作業になるわけですね。
汚染調査によって、埋設物により基準値・指針値を超える等、周辺環境への危惧が大きいと判断された場合は、埋設物及び埋設物による汚染土壌等の掘削・撤去作業を行います。 埋設物の撹乱を回避する、埋設物と作業者の接触を最小限に抑える、作業中に埋設物が周辺環境に拡散しないよう防止策を講じる、といったところに留意しながら作業を進めます。 掘削時には、周辺環境に汚染が拡大しないよう、掘削作業現場周辺を覆う(テント・仮設ドーム等)、内部滞留水をポンプ等で汲み上げ保管する等、適宜、拡散防止策を講じています。
-現場から除去された埋設物や汚染土壌は、どのように処理されるのでしょう?
掘削した埋設物や汚染土壌は、分析等によって処理方法の確認を行った後、適切な容器で当社の中間処理工場等へ運搬し、適正に処理します。
-当社の大きな特長は、調査から掘削、掘り出された埋設物の適正処理、そして各工程で発生する分析まで、その全ての対応を一貫してお客様に提供できることなんですね。
そうですね。一貫処理によるメリットはさまざまですが、たとえば情報の共有化や機密性が高いレベルで維持できるのもその一つだと思います。 ミヤマでは埋設物・汚染土壌・地下水汚染の内容・工事手法等によって、環境地質事業部、環境保全事業部、環境整備事業部、環境リサイクル事業部、環境検査事業部が随時連携をとりながら、一貫体制による円滑かつ安心な対策モデルを構築しています。 また、豊富な実績に基づく実践的な対応を図る一方で、担当者の専門性を高めるべく、地質汚染診断士、土壌環境監理士等、高度な資格取得にも力を入れています。
-お客様と接することが多いと思いますが、お客様はこうした埋設物や土壌汚染といった課題をどのようにとらえていらっしゃるのでしょうか。
お客様ご担当者から「埋設物や土壌汚染の問題で今自分は苦労している。苦労しているだけに、この問題は決して次の世代に先送りできないと感じている。今、自分の代できちんとしておくことが大切だ」というお話を多くお聞きします。大変励みになりますし、そうした思いや意志にお応えしていきたいと考えています。
環境地質事業部
TEL:026-285-4183 E-Mail:geology@miyama.net
※掲載内容は発行時点のものです。最新情報についてはお問い合わせください。