2002.12.01
様々な排水処理の問題に対応するラインナップダイヤフレッシュシリーズ
フッ素を8mg/L以下に処理する薬剤エフソン 塗装ブースの塗料の処理剤ネオポック・ネオソル COD分解処理剤オルソン
特殊な反応機構を利用した新商品を、環境商品事業部がご紹介します。
三菱ガス化学の「ダイヤフレッシュ」シリーズにはネオポック、ネオソル、エフソン、オルソンがあり、ちょっと紛らわしい名前なので、しばらく、我々の間でもネオソンとかネルソンとかの異名が飛び交っていました。ネルソンというのはイギリスの提督の名前でしたよね。
ネオポック、ネオソルは塗料系排水の不粘着化処理を行います。ネオがついたら塗料系と覚えてください。エフソンのエフはフッ素のFで、現在緊急課題のフッ素の高度処理に対応します。この3者はいずれも成分が天然鉱物及び天然抽出物であり反応機構が似ています。最後のオルソンだけが触媒で、廃液のCOD処理を行います。
まず反応機構が似ている前3者からご説明します。最初のネオポックですが、これは水溶性塗料を2種類の薬剤(A剤、B剤)で処理するものです。最初の薬剤(A剤)が塗料成分を包み込み、一種の膜を作ります。次の薬剤(B剤)はその膜に反応して、緻密化そして収縮させるものです。包み込み、そして密封してしまう巾着袋のようなものを想像すると分かりやすいと思います。水溶性塗料は溶剤系と比較して耐候性等劣っている印象がありましたが、近年すぐれたものが開発されてきて、有機溶剤による環境への影響を配慮して、外壁材の塗料にも使われ始めました。ただし、水溶性塗料は水に溶けやすいので、後始末が大変ですが、ネオポックでその面の解決が期待できそうです。
現在のところ溶剤系塗料の不粘着化のお問い合わせが非常に多いのですが、2番目のネオソルが溶剤系塗料に対応します。製品に向けて噴霧された塗料の多くは製品につかずに飛んでしまいます。これをオーバースプレーと呼び、湿式の塗装ブースでは水のカーテンでこれを捕らえピットの中の水にオーバースプレーをため込みます。この塗料滓はピット内の壁や底に付着してベトベトになり、ピット清掃が不可欠になります。ピット清掃を容易にするための薬剤はキラー剤と呼ばれており、大きく分けて浮上タイプと沈降タイプがあります。ネオソルは沈降タイプに属し、一剤だけで処理ができます。ネオソル処理すると塗料滓がサラサラした顆粒状になり、流動性がありますので、ポンプによる回収ができます。回収した塗料滓の脱水性も良いので、廃棄物の削減、あるいはリサイクルの可能性につながる有望なものと思っています。
ブランク:水道水 塗料がビン壁面に付着
添加:ネオソル0.1% 塗料種類:アクリル白色7%
ビン壁面への付着がなく、サラサラの状態で沈殿
さて、注目のエフソンですが、ネオポックと同様に2種類の薬剤で膜を作るという点までは似ています。しかし、その膜にフッ素の溶出を阻止するという能力をもたせた全く新しい機能性薬品です。
ご存知のように、フッ素の排水基準が15mg/Lから8mg/Lに引き下げられます。現在は暫定猶予期間中ですが、平成16年の夏には新基準の8mg/L が適用される見通しです。現在、安価なカルシウム(消石灰など)を使ってフッ化カルシウムとして凝集沈殿処理したり、高度処理ではアルミニウム(硫酸バンドなど)が使われています。問題は、フッ化カルシウム自身の溶解度がフッ素として約8mg/Lあることです。例えば男性と女性が結婚してカップルを作る場合ですが、これが完全に進めば独身の男女はいなくなってしまいます。ところが離婚しちゃうカップルもあるんで、また独身が出てくるんですね。化学の世界では平衡といっていますが、フッ素イオンとカルシウムイオンがフッ化カルシウムになる過程と、フッ化カルシウムが逆に分解する過程が同時進行します。通常の処理ではフッ素イオンを15mg/Lまでなら比較的簡単に処理できますが、8mg/Lまでとなると原理的に非常に困難です。15mg/Lと8mg/Lでは技術面で質的に大きな違いがあるわけです。エフソンが作る膜は、前記の化学平衡にバリアーをかけるというものです。
いわば、結婚したカップルを離婚できないように隔離するんです。
下にエフソンの実排水処理例を示しました。原水中のフッ素イオン濃度は12mg/Lから18,000mg/Lまであり、エフソン処理後は2.8mg/Lから5mg/Lという具合に良い成績を出しています。従来の処理設備を利用できるため大幅な改造が不要という点では、現時点で、規規制クリアーの特効薬と言えると思います。ただ、製品自身が粉体であるため、溶解してから添加しなくてはなりません。そこでエフソンのメーカーである三菱ガス化学さんが弊社の連続溶解装置に注目したのです。本装置は溶けにくい高分子凝集剤を短時間で溶解するという特長を持っており、そこで培ったノウハウを生かしつつエフソン用に改良したものを開発いたしました。フッ素の新基準対応に向けて、おそらく排水のご担当者は最後の詰めに入っていると思いますが、エフソンと弊社の連続溶解装置を組み合わせたシステムで、作業面の負担も少なく、初期投資も少ないご提案が出来るのではないかと思っています。
水素水を使う処理法で、鉄塩を大量に使うので、発生するスラッジが莫大なものになります。難分解物質の処理で、あまり排水量が多くない場合は、フェントン法のバッチ処理が多いのですが、時間がかかる、スラッジが多いという点で担当者泣かせとなっています。オルソンは触媒でして、鉄塩と過酸化水素の反応で発生したラジカルを効率的に有機物に作用させて分解する手助けをします。その結果、処理時間を大幅に短縮し、しかも鉄
塩の使用量を減らせますので発生するスラッジも大幅に低減できます。プリント基板の現像液の処理など、いろいろな分野での利用ができる新製品です。なお、オルソンは粉体ではなく、黒色のスラリー液なのでそのままポンプで注入可能です。
工場排水設備の設計・施工から薬剤の選定まで多くの実績をもつミヤマでは、今回紹介した他にも様々な技術で排水処理をサポートする体制を整えています。排水処理でお困りのことがありましたら、弊社営業マン、あるいは下記までお気軽にご連絡ください。
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