2001.08.01
優れた凝集沈澱効果で劇的な汚泥削減!ミヤマフロックML-600R
ミヤマの環境商品事業部化成品部では、排水処理設備と処理薬剤・処理方法に精通したスタッフが、お客様の排水における様々な問題のコンサルティングから薬剤の選定・供給までトータルに対応しています。今回は、ミヤマがご提案する様々な手法の中から、圧倒的な汚泥削減により、お客様から好評をいただいている凝集安定化剤ミヤマフロックML-600Rについて、弊社環境商品事業部に訊きました。
製造技術の進化と共に変化する排水性状
-日頃、国内の製造メーカーの排水処理ラインを数多く見ているわけですが、排水性状に対して添加する凝集剤の種類が適切でない場合が多いようですね。
凝集剤が適切でないというか、排水が変化していることが多いですね。工場の排水プラントの設計は、通常、施工当時の排水性状にあわせて考えられています。ところが、実際の排水は、いつの間にか性状が変化しています。これは、製造ラインが時代と共に変化していることを考えると当然なのですが…。しかし、排水処理に問題が起こると、まず、凝集剤がおかしいのではという相談がきます。
-排水の変化ですか。具体的には?
最近は、基板の回路パターンが微細化しており、それに伴って製造技術がどんどん変化しているようです。エッチングも、溶液を使うウエットエッチングより密閉容器内でプラズマやイオンビームで加工するドライエッチングの方が格段に微細加工できます。そうなると、ドライエッチング耐性が不十分な有機高分子レジストは使えなくなります。線幅も10nm程度になると、レジスト剤の分子の大きさ自体が問題になってしまい、ネガ型からポジ型へと変化します。製品の要求レベルがあがると、工程が変わり、使用する薬品が必ず変化するのです。脱脂剤も高度化していますが、これらの脱脂剤は、有機酸、有機溶剤、錯化剤、界面活性剤などを多く含んでいます。安定剤、添加剤などにも、やはり、錯化剤、界面活性剤が多く含まれています。排水処理にとっては、凝集不良の原因物質がますます多様化しています。
-なるほど。製造ラインでは、製造技術の進歩と共に、使う薬品の種類や割合がどんどん変化しているわけですね。
ええ。もともと、製造技術と排水処理技術は、まったく正反対の目的を持つ技術体系なんです。たとえば、無機系の排水処理でよく使われている凝集沈殿技術は、 PHが上がると金属が水酸化物になって沈殿することを利用しているのに対し、メッキ技術というのは、高いPHでも金属イオンを安定的に分散させて沈殿物を発生させないことを目的にしている。だから、製造技術の方が進歩していったら、排水処理技術も進化しなくちゃならないんですね。しかし、現実的には、排水処理設備が適切に対応できないケースが、残念ながら多く在ります。
-排水の変化で、どんな問題が発生していますか?
お客様から "凝集不良"の連絡を受け駆けつけてみると、様子が変なのです。無機系の排水処理ラインだというのに、汚泥が真っ黒に腐敗していたり、硫化水素の発生で沈殿槽一面にフロックが浮いていたり、極端な場合は、糸状性細菌やアオコが発生しているなんてことがあります。そういうことが多くなって、なんだかおかしいなと感じてきました。凝集剤の変更だけで対処できる問題ではないんですね。
-無機系の排水処理だと思っていたのに、実際の排水は有機系だった?
無機系と有機系の中間です。通常の無機系排水中の重金属の水酸化物粒子は表面が正に帯電しており、アニオン系高分子凝集剤で電気的に中和すれば、大きなフロックとして沈殿させることができます。そこに、有機性の物質が入り込むと、電荷バランスが崩れて凝集不良が発生します。つまり、有機質コロイドは負に帯電していることが多く、重金属と結合して不完全な凝集を引き起こす原因となるのです。従来法では、塩鉄、パック、硫酸バンドといった正電荷を持った無機凝集剤を過剰に添加して有機質コロイドを電荷中和させて、凝集を安定化させるとともに、発生する大量の汚泥で共沈させる方法をとっていました。
従来の対処方法
・塩鉄、石灰、塩化カルシウム等の添加量を上げる。
・ 凝集剤を変更する。
・ 活性炭を投入する。
↓
塩鉄、石灰などを過剰に添加すると 汚泥量増加を招くため、最適な手法とは言い難い。
安定した威力を発揮するML-600R
-そこで、ミヤマフロックML-600Rの登場というわけですね。(なんだかTVショッピングの司会者みたいですね(笑))
ええ、ML-600Rは無機凝集剤と比べて分子鎖中に吸着活性点が非常に多く、有機質コロイドに優先的に結合して、表面電荷状態をそろえます。そのため、少ない量で顕著に凝集を安定化できるのです。汚泥量の削減は、その結果ですね。逆に、汚泥削減だけを考えていたら、ML-600Rのような薬品は考えなかったかもしれません。動機は汚泥削減ですけど、凝集の安定化という排水処理の基本に戻ったわけです。
-なるほど。的確な排水処理には排水性状の見極めが重要で、こういう対応があってこそ、いまや時代要請といえる汚泥削減にも大きな効果が得られたということですね。これまでお客様の排水設備を改善した具体的な事例を挙げてもらえますか?
アルマイト表面処理をなさっているA社の場合ですが、通常は石灰処理だけで凝集できるんですが、スマットの除去剤が入ると全く凝集しなくなる。そこでML-600Rを投入したら安定して凝集ができるようになりました。排水処理設備は、常時排水を基準に設計されていますが、メッキ浴やスクラバーの洗浄排水が時々入るというケースは多いのです。この「時々」というのが問題で、排水処理のご担当者は、「時々」のためにご苦労なさっているわけです。心配がひとつ減ったと、よろこんでいただきました。
B社の場合、塗料排水を塩鉄と石灰を組みあわせた凝集沈澱処理で処理していたのですが凝集状態が悪く、沈殿槽の上澄みが非常に濁っていました。そこで、ML-58を添加すると右に示した写真の様に凝集状態が安定して沈殿槽での透明度を向上する事が出来ました。
C社の場合、クロムの還元に亜硫酸ソーダを使っていますが、還元剤が入り過ぎると凝集不良が起きていました。ORP計の調整が問題だったんですが、このケースでもML-600Rで凝集の安定化に成功しました。それからヒントを得て、C社では無電解メッキの排水にもチャレンジしまして、見事、凝集させることができました。万能というわけではないのですが、ML-600Rは有機物質に限らず、いろいろな面で応用がききます。
-汚泥の削減という面ではどうでしょうか。
PH調整剤に消石灰を使っているところが多いのですが、これを苛性ソーダに変えれば汚泥が減るというのは当たり前なんです。しかし、石灰というのは優れたもので、これを単になくすと、凝集は悪くなる、汚泥の含水率が悪化する、排水性状の変動に弱くなるという副作用の心配が多くなり、おいそれとは変更は出来ないのが現状です。
ミヤマフロックML-600Rによる対処方法
・ 凝集処理の安定化
凝集不良時の排水に対して極めて効率的な凝集効果。
・ 処理水安定化
凝集不良や排水処理水中の有機成分による濁りの除去。
難凝集排水の水質変動に対しても安定して処理。
プリント基板製造D社の事例について、数字をあげてご説明します。
[D社] 業種:プリント基板製造
排水種類:酸アルカリ排水、アルカリ現像ハクリ排水
排水量:150トン/日
従来処理法:塩鉄・石灰(一部苛性ソーダ)を使用した共沈凝集沈澱処理方式
従来汚泥発生量:10トン/月
薬剤使用量:塩鉄3.5トン/月、石灰3トン/月
D社ではISOに関連して、産業廃棄物発生量削減対策として様々な手法を行っていらっしゃいます。今回、排水工程で発生する汚泥削減の決め手としてミヤマフロックML-600Rを導入いただきました。ML-600Rは50ppmだけですが、塩鉄添加量は1000ppm→300ppmに抑えられ、同時に優れた凝集効果と銅処理が可能となり、大変喜んでいただけました。月当たりの汚泥発生量は10トン→6トンに減少し、40%の削減効果を得ました。これまで凝集が不安定で処理水に濁りが見られましたが、ML-600R導入後は皆無といっても良い状態にまで改善され、砂ろ過塔の逆洗回数も減りました。ML-600Rをキーにしてトータルに排水処理を見直した結果、いろいろな面でよい結果を得られた実例です。
ミヤマフロックML-600Rは、多くのお客様からその目覚しい汚泥削減効果と凝集沈澱効果を評価いただいています。ぜひその効果をお確かめいただき、汚泥削減、凝集効果や処理水の改善を図っていただきたいと、化成品部一同、日本全国を飛び回っていますので、宜しくお願いいたします。
ミヤマフロックにつきましては、弊社営業担当または下記までお気軽にお問い合わせください。
環境商品事業部
TEL:026-285-4166 E-Mail:k-shouhin1@miyama.net
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