2001.02.01
エコカーチャンピオンシップ2000 「エコカーチャンピオンシップ2000」で長野工業高校が優勝!!
昨年10月1日、愛知県豊橋市で行われた「エコカーチャンピオンシップ2000」。自動車メーカーや大学生を含む36チームが参加するなか、長野県長野工業高等学校環境システム班のS.P.EVOLUTIONが3・4輪種目で2年連続の総合優勝を飾りました。決められたバッテリーだけをエネルギーとして使い、1時間でどれだけ長い距離を走れるかを競うレースで、S.P.EVOLUTIONは2位に1.6kmの大差をつけ優勝しました。
長野県長野工業高等学校 環境システム班 北澤 勉教諭
-エコカーの製作を始めたきっかけは?
私達教員が4年前に「ワールドソーラーカーラリー in 秋田」に出場したのがきっかけです。その時自主的に手伝ってくれた生徒達が自分達もやってみたいと言い出し同好会ができました。その同好会が大会でいい結果を出したので学校に認められ、クラブに昇格しました。
-「エコカーチャンピオンシップ」のポイントは。
与えられたエネルギーをどれだけ効率よく使えるかというエネルギー管理です。ギアを高くしてスピードを出すと電気がすぐに終わってしまう。しかし遅すぎても電気があまったり、追い越すのに逆に多くの電気が必要になったりするので、モーターの効率のいいところで走ります。
-そこは一般車両のエコ・ドライブとかわりませんね。S.P.EVOLUTIONは他のソーラーカーの大会も含めて6戦全勝の記録をお持ちだそうですが、勝利の秘訣はありますか。
総合的にみて省電力で走る車を作ることです。バッテリーはお湯で煮て温度を上げることで容量を多くしました。走行中も使い捨てカイロと保温材で暖めています。それから軽量化。部品一つでも素材や形にこだわり、グラム単位で軽量化を図っています。シェルは発泡材です。S.P.EVOLUTIONの重量は 16kgもありません。
-ずいぶん軽いものなんですね。
この形も相当研究しました。エコカーは流線型のものと思われがちですが、3次元で型を作って流線型にするのには多くの費用がかかりますので、自分たちでできる2次元でもっとも良い空気の流れを探してこの形になりました。私たちは企業のように多くの費用を使うことはできません。しかし大会では企業や大学生に劣ってはいけないと生徒たちに言っています。技術を競う場ですから、資金や知識が足りなくても努力や発想でいくらでもカバーできます。流線型でなくても、転がり抵抗を考えたりベアリング・潤滑油なども改良して、総合的に省電力で走れるものを作りました。
-天候にも左右されると思うのですが。
天候や風、路面の状態などをみて、経験と事前に集めたデータをもとに作戦を立てる作戦担当者がいます。また、ネジの締め具合など些細なことでも結果が左右されますので、整備もブレーキ、バッテリー、リアタイヤ…など細かく担当を決めてそれぞれの仕事に習熟させ、ドライバー担当は全開で走るだけに設定します。夏には車内の気温が70℃くらいになるので、ドライバーは気を失いそうになることもしばしばです。
-身近にこういった方たちがいると、周りの皆さんの環境に対する意識も変わってくると思いますが。
もちろんかわってくるでしょう。レースだけでなく、信越道の開通イベントで高速道路を走ったり、工作教室でソーラーカーを作ったりして、できるだけ地域の皆さんにもソーラーの力にふれてもらうようにしています。今後は子供達に環境やソーラーの力のことを考えるきっかけとなるようなことをもっとやっていきたいですね。
-本日はありがとうございました。 次の工業分野を担う若い世代が、このように自然な形で生きた環境教育を受けています。燃料電池車が主流になるといわれている21世紀、皆さんの活躍に期待しています。
■S.P.EVOLUTION スペック 全長:2800mm/全幅:540mm/全高:600mm/ホイールベース:1550mm/トレッド:360mm/重量:20kg(バラスト含む)/最低地上高:30mm/フレーム:C-FRP/ホイール数:3輪/タイヤ:20インチ/ブレーキ:Vブレーキ/駆動装置:チェーンドライブ/モーター:53Wブラシレスモーター
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