1998.12.01
ミヤマの年賀状 中野の土雛
毎年、皆様にお届けしているミヤマの年賀状は、信州中野の土雛を題材に制作しております。来年で7回目の土雛の年賀状になりますが、この土雛を制作して下さっている奈良久雄先生についてご紹介いたします。
奈良先生は、初代奈良永吉氏より5代目、現在では数少ない中野土雛の後継者です。中野の土雛は初代永吉氏が現在の中野市で制作を始めたのが発生と言われています。
江戸時代末期、永吉氏はお正月の観賞用の福寿草を売りに毎年京都へ行くうち、京都伏見の人形師と親しくなり雛型をわけてもらったそうです。その形と技術を信州に持ち帰り制作をし、中野の市で売り人気を博しました。今では市、そのものはなくなってしまったのですが年1回の「雛市」として残っています。
永吉氏が伏見からもってきた雛形は、代々奈良家で受け継がれてきました。当時はかなりの種類があったそうですが、今では80種類ほどになっています。
5代目奈良久雄先生は伝来の土雛を制作するとともに、新しい形を創り出すなど、伝統を守りつつ、新しい創作にも力を注いでおられます。
土雛作りは、土を型抜きし、乾燥させた後、素焼きをして、胡粉で下塗りし、彩色するという、大変手間のかかる仕事です。それだけに土の暖かさ、手仕事のぬくもりが伝わってきます。素朴でありながら現代のインテリアにも違和感なくマッチする中野の土雛は大変人気が高く、毎年3月31日に開催される「雛市」には全国から愛好家が集まり、数時間で完売してしまうそうです。
来年は卯年。奈良先生が制作して下さったウサギの土雛で新年のご挨拶をさせていただきたいと思っております。
※中野の土雛は中野市の「日本土人形資料館」に常設展示されている他、奈良先生の実演も行われています。お近くにお越しの際はぜひご覧下さい。
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