1998.10.01
INA ILLUSION-伊奈イリュージョン
写真家伊奈英次氏「廃棄物」を撮る!
写真家、伊奈先生とミヤマとのおつきあいは(財)日本産業廃棄物処理親交センター様から、機関誌「J・W」の表2ページの写真をお願いしている伊奈先生にミヤマで廃棄物を撮影させて下さいと依頼を頂いた事から始まりました。
ミヤマ中野工場で撮影していただきましたが、伊奈先生はライフワークとして廃棄物を撮り続けていて、「J・W」以外の写真もぜひ撮らせて下さいという強いご要望で、その後もたびたび中野工場に撮影に見えるようになりました。
先生の受賞歴の一つ、「ゴドウィスキー写真大賞」のゴドウィスキーというのはカラー写真を発明した人で、ボストン大学写真センターがカラー写真の向上を目指す国際的なプログラムとして開催されています。受賞後ボストン大学で2ヵ月間、展覧会が開かれましたが、先生の出展作10点のうち8点がミヤマで撮影されたもので、その10月、アメリカ、ヨーロッパ、アジアで同時出版となる写真集「WASTE」にも多数掲載されるそうです。
先生の手にかかると日頃見なれている廃棄物がまったく別の物に生まれ変わり「アート」として再生されます。廃棄物は屍ではなく、一つの物質としての役目を終え、静かに転生される日を待っている...そんな生命を感じるのが先生の写真です。それはまるで廃棄物がリサイクルさら別の物質として生まれ変わるのと同じでは...。そんな思いから「ミヤマリサイクルコンセプト」は伊奈先生の写真をメインビジュアルで制作しております。ご期待下さい。
※伊奈先生に撮影していただくにあたりまして、お客様の企業名、また出所を特定されると思われる物には、厳重に注意を払い、守秘義務を遵守しております。
伊奈英次(いな・えいじ)氏プロフィール
一九五七年、愛知県名古屋市生まれ。
中部工業大学工業物理科中退後、東京総合写真専門学校研究科卒業。
八四年、東京の都市風景を独自の視点で捉えた作品展「In Tokyo」で注目を集める。八八年には第四回東川町国際写真フェスティバルで新人賞を受賞、九四年には廃棄物のある風景を捉えた「SCRAP」、九五年には「WASTE」を発表。1998年、レオポルト・ゴドウィスキーJr.カラー写真賞入賞。8×10インチという大判のフィルムで廃棄物の姿を追い続けている。
作品収蔵
川崎市市民ミュージアム
パリ国立図書館
東京都写真美術館
北海道東川文化ギャラリー
出版物
1995「WASTE」自費出版
1996「第32回今日の作家展ニュージャパニーズフォトグラフィ」
1990's「無意識の共振」横浜市民ギャラリー
1998「メディアローグ・日本の現代写真98'」東京写真美術館
「WASTE」ナツラエリ・プレス
MEDIALOGUEより
私は物を見るのが好きだ。
見たいものを見に行くことも、また見えないものに向かって見えるようにすることも。
そしてこの写真は、このみえる世界の鏡としてもう一度、〈見ること見えること〉を教えてくれる。
見える世界も、見ようと夢見る世界も、現実と幻の表裏にすぎない。
嘘を重ねることによって生まれる現実と、写真の中にある嘘は、 そのまま写真の中で拮抗する真実である。
見えないものを見えるように世界を変換するものとして、写真はこの上なく便利な解読装置であり、また逆に、 見える世界を見えなくするような、厄介で複雑な偽装装置なのかもしれない。
私にとっての写真とは、このような合わせ鏡の中の世界の混乱と、 単純な二枚の物質としての鏡である。
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