1998.06.01
燕テクノロジーセンター完成 ダイオキシン類分析業務、本格稼動へ。
人類が生み出した史上最悪の毒物といわれるダイオキシン。ダイオキシンの正式名称は、ポリ塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシン(PCDDs)といいますが、一般には似たような性質を持つポリ塩化ジベンゾフラン(PCDFs)やPCB(ポリ塩化ビフェニール)の仲間で、現在210種類の異性体が確認されています。
ダイオキシン類は、発癌誘発性、催奇形性があることが知られていますが、実は毒性の強いものから無害に等しいものまでその性質は様々。毒性があるのは、210種類のうち17種類の異性体に限られています。
ダイオキシン類は、ごく微量で生態系に大きな影響を与えるため、これを分析するためには、高度な設備と技術が不可欠です。
ミヤマでは、既に平成4年度よりダイオキシン類の測定業務を開始、また年間15,000検体を超える環境関連分析を通じて、様々なノウハウを蓄積してきました。 こうした実績をベースに、新潟県燕市の弊社燕工場内に完成した燕テクノロジーセンター内にダイオキシン類分析室を開設、6月1日より本格稼動を開始しました。
未来を明るくするための仕事だから。
ダイオキシン類分析室で分析スタッフを率いる小林室長は、次のように抱負を語っています。
「ダイオキシン類対策は、世界的に見てもまだスタート地点に立ったに過ぎません。主な発生源とされている排気はもちろん、飛灰の拡散状況や土壌・水中への沈積、食物・飲料への影響など、対策が求められる範囲は今後一層拡大することでしょう。
ダイオキシン等をめぐるメディア等の最近の報道を見ているととかく気分も暗くなってしまいがちですが、私たちが行っている分析作業が将来的にそんな状況を打破し、もっと明るい未来を自分たちの手で手繰り寄せる、その一助になればと願っています。ちょっと楽観的過ぎるでしょうか(笑)ただ、常にそんな希望を失わず業務にあたっていきたいですね。」
最新の設備と高い安全性~ダイオキシン類分析室
ダイオキシン類分析室は、前処理室・GCMS室(ガスクロマトグラフ質量分析装置室)・監視室の3つのセクションからなっています。
前処理室
HRGC/HRMS(ガスクロマトグラフ質量分析装置)でダイオキシン類の質量を測定するための前処理を行います。具体的には、検体からダイオキシン類を抽出し、精製(クリーンアップ)するまでの工程です。
GCMS室
前処理室で抽出・精製されたサンプルを、HR‐GC/HR‐MSで測定し、ダイオキシン類の濃度を測定します。現在、処理能力4t以上の新設炉の排出規制値は、0.1ng/m3N以下とされていますが、これは1m3中に100億分の1gのダイオキシン類があることを意味します。例えば、1m3をタイタニック号の大きさに拡大しても、0.1ngのダイオキシン類は、船内に浮かぶ小さなホコリひとつという微かな量に過ぎません。ダイオキシン類分析には、これを検出する位の高い精度が要求されるのです。
監視室
前処理室・GCMS室は、安全対策上、外部から厳重に遮蔽されています。前処理室、GCMS室での作業は常に監視室からモニターされ、万一の場合に備えます。また、工場見学のお客様は、ここから内部の設備や作業状況をご覧いただけます。
分析から対策実施まで。ミヤマの総合支援システムDFence
ダイオキシン類の排出規制の拡大・強化を受け、今後ダイオキシン類分析のニーズはますます高まっていくことが予想されます。ミヤマでは、総合環境企業として長年培った様々なノウハウを結集、単にダイオキシン類分析にとどまらず、分析後の改善対策のコンサルティングから実施まで、トータルにダイオキシン類対策の推進をお手伝いする支援システム「DFence」をスタートいたしました。
これからのダイオキシン類対策を、環境管理、プラント改善から廃棄物処理に至るまでしっかりとケアし、お客様の対策を強力にバックアップする、総合環境企業ミヤマだからこそ可能な支援システムと自負しております。
ダイオキシン類分析室の開設は、総合環境企業を標榜するミヤマにとって、新たなチャレンジの場です。今後益々ニーズが高まることが予想されるダイオキシン類の分析業務に対応すると共に、将来的には、環境をテーマにより広範な分析・研究業務へとその機能を充実させていく予定です。ご期待ください。
ダイオキシン類分析につきましては、弊社営業担当または下記までお気軽にお問い合わせください。
環境検査計測事業部
TEL:026-284-5114 E-Mail:kensa@miyama.net
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